ときどき目にしますのは「算数が優先、理社は後からでもなんとかなる」という説。
塾の先生なんかは、「理社が最初からよいと後ノビしません」なんておっしゃるから、ついつい理社は後回しにして算数をやりまくってみたり。
飲み込みわるめの三菜の実体験を織り交ぜながら上記の説を検証してまいります。
検証したって誰にでも当てはまるわけではないけどね。
こういうブログって統計じゃなくて一個人の経験談だし
「理社は後回しでなんとかなる」の所以とは
まず「理社があとまわしでよい」と言われる理由について、ネットで囁かれていることといえば、
・むしろ直前の記憶の方がフレッシュでよろしい
・そもそも配点が高くないので、算数を落とすよりよい
…とまぁこのあたりになりますでしょうか。
受験を終えてみますと
・一問一答レベルでも、飲み込み悪めの子にとっては「たかが暗記」にならない
・点数はどの教科で得点しようと同じ点数
・なにはともあれ「後回し」は飲みこみ悪めさんにとっては危険な予感
というのが所感です。
理社は暗記科目?…中堅校の過去問からわかること
皆さまは志望校の過去問をご覧になったことがありますでしょうか?
こみるは塾講師ではありませんのであらゆる過去問をみたわけではありませんが、三菜の受験勉強当時メルカリで入手した10校ほどの中堅校の赤本を見たかぎり、中堅校であったとしても「理社が1問1答だけでいける!」…という学校は少ないのではと推察いたします。
理科のケース
A:酸素!
…のような問題も出るには出ますが、大半を占めますのは
A:〇対〇
…のようなやつ。
表やグラフ・図を読み取ったり、あるいは計算して答えを出す問題が圧倒的に多い印象です。
社会のケース
A:承久の乱
…のように一問一答的なストレートな問題も出るには出ますが
——一見どれも正しそうな選択肢が4つ並ぶ——
A:ウ
…とかですね。
三菜の受けた中堅校の入試問題の過去問はほぼこのパターンでした。
あるいは、「文中の( A )( B )に当てはまる言葉の組み合わせとして正しいものを次のア~エから選びなさい」とか。
登場人物は何でどんな出来事だったかは勿論のこと、なぜその出来事が起こったのか、結果どうなったのかというストーリーがしっかり頭に入っていないと、答えられない問題が山ほどでてきます。「ア~エの文の正誤をそれぞれ答えなさい」というタイプに至っては、なおのことしっかり分かってないと、運に身を任せる以外道はありません。
運が悪かったら、ジ・エンド!?
つまり、四谷大塚偏差値50~55レベルの中堅中学であっても、一問一答レベル=暗記レベルに答えられるのは当然、そこから先のレベルに進まないと入試問題は解けないようにできているのです。
子にとっての「暗記」とは
独断と偏見による暗記の出来不出来類型化
なにはともあれ、基礎固めとしてまずは「暗記」ができてないことには始まりません。
で、暗記をする当人である「子」ですが、いろいろな方のブログを拝見しますと、いろいろなタイプのお子様が登場します。勝手ながら子の暗記の出来・不出来を類型化いたしますと、こんな感じに類型化できそうです。
パターン2:少しの時間と努力で覚えられる+忘却する
パターン3:覚えるのにそれなりの時間と努力が必要+忘却しない
パターン4:覚えるのにそれなりの時間と努力が必要+忘却する
さて、子はどのタイプ?
「5年秋から準備始めましたが自宅学習で御三家受かりました」とか「親は手出ししませんで、勉強しろなどほとんど言いませんでしたが難関校に受かりました」というようなお子様は間違いなくパターン1です。おそらく覚えるコツなどを勝手に確立できるし、忘れてしまったとしても自らの力で記憶のリカバリを実行可能。ひょっとすると暗記という行為は勉強のカテゴリにすら入っていないのかもしれません。ノーケア・ノーウォーリー。
パターン3もラッキーなお子様である気がいたします。本番を見据えた勉強スケジューリングさえ間違えなければ、忘却しないというのはかなりのアドバンテージです。
問題はパターン2と4です。のみこみ悪めさんは2か4のどちらかである可能性が高いでしょう。
三菜様のケース
パターン2orパターン4だった三菜
ちなみに三菜は、主にパターン2。「そっか!」と割と素直に覚えますが、マッハで見事に忘れます。いや、覚えたつもりでそもそも覚えていなかったのかも。単元によってはパターン4の三菜も出現する始末…。
とにかく定着するまでに時間と手間がかかりまして、優秀なお子様のように片手間で暗記はすませて(←想像)…というわけにはいきませんでした。
昨日確かに覚えたと思うんだけどな。
夢だったのかもしれない
後回しにするとやばい理由ー追い込みの時間がないー
驚くべき忘却力でそもそもの「定着=暗記」に時間がかかることは4年の時点で既に判明しておりました。加えて飲み込みわるめさんが理科の計算問題や社会の正誤問題、思考して解かせる系のスキルを磨こうとするならば、その工程も人より時間はかかろうことも容易に予想がつきました。
一方で、部活もあるし睡眠時間の確保も必要。また、本丸の算数の時間も飲み込みわるめさんなりの時間を確保しないといけませんから、理社のための勉強時間を学年が上がる毎に無限に増やすというわけにはいきません。
定着のための工夫やそれなりの手助けも必要になるのですがその話はおいおいすることとして、暗記の出来不出来パターンの2,4の場合には、少なくとも後回しにしてギリギリで追い込みは危険であろうとことが言えると思います。
パターン1は言わずもがな。パターン3でも6年で勉強だけに時間が使えれば後回しで大丈夫かもね。いいなー。
理社の5点も国語の5点も同じ5点である
手間や工夫が必要な理社でありましたが、三菜の場合受験期間を通し模試で点数になる(ことが多い)のもまた理社でした。
勿論単元によって波もありましたが、実際受験期間全般を通した模試の偏差値は、理社>算数>国語ということも多く、理社が壊滅的な国語を補い4教科総合でトントンまで持っていく役割を担っていたと言えると思います。
また、三菜が受験したいくつかの中学は、国語・算数・理科・社会の配点がおおよそ100・100・50・50、かつ、4教科合計得点で合否を判断するタイプの学校でした。国語が期待できない中どこで素点をとる?理社でしょ!となるわけです。4教科合計で合格最低点が取れていれば合格。教科内訳は何だっていいのです。
「私やればできるし、得意かも」って思える教科があると、本人の自信にもなるしね。
どの戦略がベストなのか
ということで、三菜の場合は、理社を後回しにすることは選択しませんで、それなりの時間はかけました。算数よりは時間をかけてないものの、理社の2教科を足すと算数の時間は余裕で超えていました。感覚値ですが、算数:理社=3:4くらいでしょうか。
三菜の場合は、「部活も続ける、旅行もいく。受験のためにあきらめない受験」を選択しておりましたので、6年後半に理社を追い込みするだけのビビるほどの時間は生み出せないことが分かっていたので、そういう戦略をとった、というのもあります。
通塾していた時の話になりますが、クラス分けは4教科総合の成績で行われておりました。
模試で理社の成績が良いと総合点を底上げしてしまい、思いがけず実力以上のクラスに在籍になってしまうこともありました。そうなると何が起こるかというと、特に算数の授業で「…?」が多くなり、本人が辛くなるのです。
ということを考えると、通塾を続けるのなら、理社は最初のうちはあまり手をいれずに潔く放置!模試の成績が不調でもぐっと我慢!算数のレベルにあったクラスに在籍することでじっくり算数に取り組みじわじわ底上げしつつ、あとあと理社の勉強時間を増やすなどの力業でどうにかするというのが定石なのかもしれません。
まぁでも、通塾していてもパターン1や3じゃない限り、力業に時間も相当かかるのは事実でしょう…塾一本で勉強だけでいきますわっていう環境なら、三菜よりも勉強時間はあるでしょうから、パターン2や4でも間に合うのかもしれません。
飲みこみ悪めさんが理社後回しにしたら、最後まで部活続けるなんて無理ゲーだろな。睡眠時間も減りそう。
で、どうすれば一番いいの
それはわからない…というのが結論になりますが、少なくとも「通説だから、多くのお子さんがそうだったから後回しでOK」というのは乱暴な気がします。三菜は、理社は後回しにはせず最初から対策する戦略がはまり結果よしでした。
なお、三菜は4年・5年で算数に時間をかけてもかけても腑落ちしないくせに5年の後半~6年の秋にかけてメキメキわかるようになったことも沢山ありました。理社をやってると算数がおざなりになるから駄目説もありますが、実体験上成長に従い学年が上がると理解できる・腑落ちすることも沢山あるのが算数である気も致しますので、理社が後回しでOKは果たしてホントに誰にでも当てはまる通説なのかはだいぶ?が生じます。
といっても、この飲み込み具合・理解度合いといったパターンの組み合わせはもっと細かく考えれば様々ですから、こみるの策も万人に通ずる策でもないでしょう。そもそも三菜にも「最善」だったかどうか検証する術もありません。
komiruの話を含む体験談や情報は情報として取り入れていただきつつ、まずは己の子の特性を観察する。それに親があちらこちらで探しインプットした情報を照らし合わせ、最終目的を達成するために限られた時間でできるベストな方法を考えるというのが、飲み込み悪めの子を持つ中学受験生の親のつとめなのかもしれません。受験を終えた今はそう思います。