「飲み込み悪めで苦労しました」の話は本ブログの随所で出てきていると思いますが、本当に大変でした。本日は子が「わかった」と言っていたハズなのにテストになるとできない・繰り返しといているはずなのにとけない現象ををどうする??…という、飲み込み悪めの中学受験生をお持ちの保護者さま、必見のエントリー。
必見と書いておいてなんですが。100人いたら100通りのやり方があるからね。これは飲み込み悪め三菜のやり方にすぎませんよ。
優秀層のお子さまをお持ちの保護者さまも、折角ですので「アラア、大変ねぇ」と同情しながらご覧くださいませ。
「わかったはずなのにできない」案件とは
そもそも、1度の授業ごときで、できるようになりません
通塾していた頃、授業の内容をキレイさっぱり忘れてきて宿題にならなかったなんて話は、以前も書きました。
宿題やるために親が教え直すという、何のために高い金を出して塾に行ってんだかサッパリわからないってやつ
そう、飲み込み悪めの子というのは、一度授業を聞いたくらいでは本質的な理解に至らないのです。授業の受け方に問題があるのか、帰ってきた直後に「何やったの?」と反芻させるとか、放っておけば自主性が育つのか、所説あるところですが、こみるなりに検証した結果、こみる家では「親が勉強を教える」ことになります。
家で繰り返しても、できるようになるとは限らない
で、家庭学習です。
塾の授業からカウントするとこの時点で既に「繰り返し」を行っていることになりますが、それはさておき、塾でならった例題を今一度親が教える 若しくは スタディサプリなどで類題を視聴させます。すると「ははーん、そういうことね」などと三菜は言います。いかにも理解した風の発言。
例題が理解できたようなので、類題をいくつかやります。三菜が「なるほど」と言いながら類題を解きます。そして次の例題へ。三菜が「うん、わかった」と言って例題を解きます。例題の〇つけをしてポイントを確認し「どう?」と聞くと「うん、大丈夫!」と。
そんなことを繰り返しながら、この回の演習は終了。
おつかれさまでした。
2回目だしね、うん、完璧。
では翌日、もう一度昨日やった問題を解いてみましょう。
…!?
…できない!
これが世にも奇妙な「わかったはずなのにできない」「繰返しといているのにとけない」案件です。
新手のコントか?
そんなことってある?
ドリフのコントを見ているようですが、コントではありませんよ。そしてこれがまぁまぁの頻度で出現します。全部が全部でないですがね。優秀層のお子様をお持ちの親御様的には「うっほ。ありえない!何故?」…と、ついクスリと笑ってしまいそうになる事案です。面白いでしょ?
だが、飲み込み悪めの子を持つ我々にとっては「面白い」では済まされません。更年期のイライラ及び暑さと戦い「わかったと言っただろー!!何故だーーっ!!!」という絶望的な気持ちに怒り狂いながらやったことをアレコレ綴りますよ。
子の「わかった」を「わかった」にしよう
1クールほど子を傍で見て家庭学習して分かったことは、「子の『わかった』は『わかった』ではないことがある」ということです。
なにこれ、禅問答?
親である以上、我が子の言っている言葉は信じてあげたいというもの。しかし、本人が自信満々に「わかった」と言ってるのにできないとは、一体何が起こっているのでしょう?
子の「わかった」は同じ「わかった」でも理解度がさまざま
三菜の頭の中を覗いたわけではありませんが恐らく子の「わかった」には何種類かあり、さしずめこういうことだろうと思われます。
レベル | 子にとってそのココロは |
※0 | 説明を2度ほど聞いても「はて?」となる。子にとってイミフ。 |
1 | 解説を見て「ほうほう、確かにそんな話だったねぇ」と思う |
2 | 途中まで解説を見ると何かが頭の中に蘇ってきて解ける |
3 | 自分でといて正解する |
4 | どうしてそういう答えになるのか、説明できちゃいますけど、ワタシ。 |
※なお「レベル0」はちっとも「わかった」に該当してませんが、この後の説明に必要なので理解度のレベルとして記載しています。
三菜にとっては、どれも同じ「わかった」。そう、子の「わかった」は紐解きますと理解度があまりにさまざまなのです。三菜の例から類推するに飲み込み悪目さんは理解度低めな問題の方がはるかに多いはず。割合にしてレベル3:レベル2:レベル1 or 0=2:4:4くらいではないでしょうか。
「説明できちゃいますけど、ワタシ。」でないと点数になりにくい
以前も書いた気がしますが、「1を聞いて10を知るタイプの子」でしたら授業で聞いた、もしくは一度解いたことがあれば、テストで点がとれるでしょう。ところが飲み込み悪めさんの場合、いくら子が「わかった、もう大丈夫」と言っていても、そうはならない。
レベル1の「ほうほう言われてみれば確かにそんな話だったね」と思っただけの「わかった」レベルやレベル2の「あ!そうだった!思い出した!」という「わかった」レベルではほとんど点数にならない、というのがこみるの所感。
稀に正解したりするけど、騙されちゃいけないよ
ところが「説明できちゃいますけど、ワタシ。」レベルの問題は、十中八九、点数になる。少なくとも三菜のテストではそんな感じでした。
レベル3の「自分で解けた!『わかった』」レベルは自分で解けてるし、いかにもテストで点がとれそうです。ですが、ここで残念なお知らせが。飲み込み悪めの子の場合、この状態でも、点がとれるかという意味ではまだまだ怪しい。1,2から比べれば点はとりやすいものの、点にならないことも意外と多いのがこのレベル3。
幼めの子は「ワタシ、この問題自分でとけてますけど、すごくね?」くらいに思ってますので「分かってる!大丈夫!」って言いますが、自分で解けるのと説明できるのでは似ているようで大違いです。試しに説明させてみますと、説明しているうちに理解のおぼろげな点が露呈してしどろもどろなんてこともしばしば。レベル3は親が騙されやすくかつ一番危ないとも言えましょう。
「惜しかったね、立式ここまであってたのに。ここの式間違えたからあとちょっとだったね、ミスだよ!」などとこみるが言いたくなるケースは、大抵レベル3です。
ちなみにこのケース、「ここの式間違えた」のならば、説明させたらアウトになる案件です。「説明出来ちゃいますけど、ワタシ。」=わかった、…の観点から言いますと、全然あとちょっとの凡ミスではありません。ブッブー。出直してらっしゃい。
また、よくきく学習法の「繰返し」。
これは飲み込み悪目の子にとって一見王道な学習法のように見えますが、三菜を見ていますと注意点があります。繰り返すことで子の「わかった」レベルが上がって説明できるところまで昇華されていれば、意味はあると思います。ですが、繰り返していても「説明出来ちゃいますけど、ワタシ。」レベルに上がってなければ、やってる意味、ゼロです。だって、点数にならないんですもの。時間の無駄。
「説明できちゃいますけど、ワタシ。」に昇華
親が子に問う「わかったよね!?」の意味としては、「わかったんだから、テストでしっかり点が取れるはずよね!?」なんじゃないでしょうか。ココに子の「わかった」と大きなギャップがあるため「てめー、『わかった』とか『大丈夫』とか抜かしてたくせに、点数とれてねーじゃねーか!! どの口が『わかった』なんて言っとんじゃ、ボケ!!!」…と、ハラワタもアッツアツ、煮えくり返るような心境に親がなってしまうのだと思料。
おしとやかな母を演出するには「わかったと言ったじゃねーか、ボケ!」はできることなら言いたくありません。ついては、テストでほぼ点数に繋がる「説明出来ちゃいますけど、ワタシ。」に子の理解度を昇華させる作業を粛々といたしましょう。
まず「わかったレベル」の把握をしてみる
三菜は部活もやってたのでホントに時間が無かった。その週の課題となっている問題たちを1から10まで闇雲に説明させると逆立ちしても時間が足りません。なので、優先順位をつけるために三菜の「わかったレベル」を把握。
三菜の場合、最終的には「おまえが言う「わかった」はこの問題ではどのレベル?」と本人に聞いて区分させましたが、親が見るなら問題を解くのにかかる時間・集中しているかボンヤリしているか・機嫌などあらゆる要素であらかた判別できると思います。(※わからない問題ばかりのときは機嫌が悪くなりがちです)どうにもこうにも勉強を見ている時間がない時はノートへの答えの写し具合(参照度合い)であらかた判定。
レッツ・説明タイム!…説明は完璧でなくてもOK
ちなみに説明させるとき「こういう式で解くって書いてあったからこう書いてるの!」などという乱暴な説明は断じて認められません。どうしてその式になるのかをその子なりに説明できて初めて問題クリアです。
説明につい完璧を求めたくなりますが、完璧に説明できる必要はないと思います。ポイントは「その子なりに腑落ちした説明が出来ていたかどうか」というところ。
親にとって少々イミフだったり、端折ったりしていてもよいです。群数列の説明などさせますと、「10分の3はこの区切りの⑨の中の7番目になるから…」など子はいいますので、晩酌をしているこみるにとってはもはや暗号の解読、つまりイミフですが、ふんふん、へえ、ほー、と聞いていればよろしい。
時にノートを見て「へー。で、どうして最後に+9するの?」などと急に質問したりします。説明できないと「あれ、なんでだっけな」と子は考えます。または解説を今一度みたりします。
そうやってひとつひとつ理解度レベルの低い問題を「説明できちゃいますけど、ワタシ。」レベルまで昇華させていきます。
小難しい問題の説明ばかりさせると嫌がられますよ
まずはレベル3の「自分でとけますんで『わかった』」系の問題を説明させるのが手っ取り早いです。
子も比較的簡単に説明できるので場合によってはウッキウキで説明してくれます。子がウッキウキになるので親も楽しく、レベル3ばかり説明させたくなりますが、一気にレベル3の問題を使い切ると後で大変なことになるので小出しにします。
レベル2の「あ、言われて思い出したぜ!」はレベル3よりは説明できるようになるのに時間がかかったり、説明をしようと思うと実は分かってなくて躓くことが多く、ウキウキトントンとは進まないはずです。レベル1の「ほうほう、言われてみれば確かにそんな話だったね」はレベル3にもっていくのはレベル2よりも更に難易度が高いです。レベル1については後述します。
説明に躓いたら必要に応じてスタサプや進学くらぶの動画、あるいは説明することができた類題に戻ります。そのうち三菜のような幼めの子は「めんどくせー」と思ったり機嫌が悪くなってくるでしょう。
でもここが親の腕の見せ所。子の機嫌を見て、すかさずレベル3を投入です。レベル3を小出しにすると言ったのはこのためです。子にとって小難しい問題ばっかりやってると機嫌が悪くなるので、ガス抜きにレベル3を使うのです。
飲み込み悪めはめんどくせーな
そう、手がかかるんです。でも、手のかかる子ほど可愛いともいいますよ。
親がテストの偏差値で一喜一憂「しにくくなる」というおまけ付き
これをすることでおまけで付いてくるメリットは、親がテストの相対評価である偏差値で一喜一憂しにくくなるということです。なぜならば、他人と比べてできたかどうかではなく、子が「説明できるようになった」問題がテストでできたかどうかという絶対評価でテストを見ることができるから。どんなチンケな点数のテストでも、女優ばりに子をほめてあげることができましょう。だって、間違えた問題はテスト前に説明できなかった問題ですもの。できなくても、しょうがない、しょうがない(by胡蝶)。
ま、そうはいっても相対評価は気になりますがね。人間だもの。
ホワイトボードも有効
ちなみに親が子と勉強する際にその距離感ゆえ親が爆発しにくくなることうけあい!…の「ホワイトボード」ですが、こちら、子の説明タイムにも使えます。子もひとときの先生気分で楽しく説明。流暢な先生・ふと自分で言ってることが分からなくなって固まる先生・わからず机に出戻る先生など、いろんな先生が出現して、やらせてみると面白いですよ。
ただ、いつもいつもホワイトボードで楽しく説明させては、マジで時間無くなります。適宜、お楽しみで、といったところです。
ちなみに中学生の三菜。be動詞の単元・一般動詞の単元…、と単元毎にやる分には全く理解に問題なかったはずなのですが、その後助動詞・現在進行形・過去形と進んだタイミングで頭の中がぐちゃぐちゃになってきたので、昨日の夜はこれまで出てきた文法についてホワイトボードに書いて説明してもらいました。まだまだ現役、ビバ!ホワイトボード!!
捨て問をつくろう
できれば今週課題となっている全部の問題を昇華させたいですが、実際そんな時間なんてないです。三菜、部活やってましたし。習い事もしてましたし。
ここで予習シリーズとは何ぞやを考えてみますと、あれは御三家を狙う子達にも満足のいく学びをさせるために四谷大塚が提供しているものです。
乱暴な言い方をしますと、四谷大塚80偏差値50~55を目指す場合、5年時点で予習シリーズ問題集の7割ができてれば、もう完璧 of 完璧じゃないでしょうか。だって、御三家狙うお子様たちが使うのと同じテキストと問題集なんですよ。使う人によってできるようになる問題が違って当たり前です。全部できる必要全くナッシング。
6年上の予習シリーズ・算数に至っては半分もやらなかったばかりか、赤本(過去問)をこみるが見て「こいつは出ねぇ」と踏んで飛ばした単元すらあります。
こみるの感覚値ですよー
あれこれ言いましたが、1週間という期間で問題集の隅から隅まで子に説明できるようにさせるのは中堅校を目指す者には無理。つまり捨て問が必要です。
イミフ問題と、1・2度やって説明できそうもない問題は、潔く「捨てる」
「わかった」を「わかった」にしよう作戦で、三菜は大体こんな順番で問題を昇華させていきました。
- STEP1三菜のレベル3:自力でとけたよとにかく全部
- STEP2三菜のレベル2:少し見聞きすればあとはとけるよなるべく全部
- STEP3三菜のレベル1:見聞きすればなるほどと思うレベル2が終わったらできる限り
必ずしもこの限りではなく、その単元にもよりさじ加減もありますが、レベル3まで昇華させる過程で時間切れになり捨て問となるのは、大体、以下です。
単元によってはレベル2でもなかなか昇華させることができず、レベル1までたどり着かない。はたまたある単元ではレベル2の途中で時間切れなんてこともあります。そうなると「マジ~?」というくらい捨て問が出ます。
欲張って「ワン」と吠えると持ってた肉も落としますよ
ああ、こんなに。積み残しちゃった。目先には週テストがある。この問題、あとちょっとで説明できそう。こっちの問題はまだ完璧にできないけど、こっちも説明させちゃおう!って欲張りにアレコレやらせたくなります。
ですが中途半端な「分かった」が8割で週テストに挑むより、完璧な理解5割で週テストに出撃したほうが、三菜の場合はるかに点数がよかった。子にとって「捨て問」になるような問題にいたずらに時間を使っていると、レベル2どころか3の問題すら完全に昇華できず、総崩れになります。これは絶対に避けたいところです。
それでも捨てられないあなたはイソップ物語の「犬と肉」を思い出しましょう。水に映った肉が欲しくてワン!と吠えたら、くわえていた肉まで落としたあの話。欲張りは禁物です。
潔く「捨てた」問題の顛末~子の成長に伴い解決することもある
例えば5年上の差集め算の単元。当時の三菜はホントに苦手で全く説明できるようになりませんでした。レベル2や1が多すぎて、まったくもってレベル4まで昇華せず。ホントにホントの基礎の基礎だけしか習得できず、母も疲れ果てその週は終了し、組分けテストも終了。捨て問のなんと多かったことでしょう。
時はたって、6年の夏。三菜は夏期講習の代わりに4年・5年の演習問題集を集中的に解きまくったのですが、当時イミフだったその問題たちをやらせてみたところ、いくつかはいとも簡単にすんなりと解答。
人間としての理解度が増すのか?6年になると何かが憑依する?他の問題を解いていると、だんだん解けるようになるのか?…結局のところ何が起きたのかはよくわからないのですが、子の成長に従い…時が解決することもあるのだろうと思いました。
また、以前も別記事で紹介しましたが「新演習問題集」の紹介としてこんな文章が載っています。
中学受験のための勉強は、とにかく早く進めればよいというわけではありません。学年や時期によって適切な学習内容があるはずです。(「中学受験新演習 算数 小6 紹介文」より)
ちなみに差集め算は新演習では5年下で出てきます。
三菜にとって「差集め算」は四谷大塚でいうところの5年上のその時期にやるのは早すぎで、5年下もしくは6年が適切な時期だったのかもしれません。
そう考えると、今この瞬間、捨て問が大量にあっても慌てることなかれ。
最終目的を思い出してみましょう。組分けテスト?合不合?首都圏模試?ー最終目的は入試本番で合格することです。目先のテストに慌て全網羅で中途半端にやらせるよりは、一問一問、その子にとって今完璧にできそうな問題を「説明できちゃいますけど、ワタシ。」まで昇華していくことが、一番の成功への近道なんじゃないかな、と思います。
あ、これは中堅校を目指す者のブログです。難関校を目指す方は知りません。でもね。難関校を目指してるのに定番問題で子がいつもチンケな点数をとってるんだとしたら、その場合、子は「わかった」わけではないかもしれませんよ。
↓ 嗚呼大変!
折角「説明出来ちゃいますけど」にしたのに、1ヶ月経ったら忘れてます!…の話はこちら
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