4年生の夏休み前に出現し、秋にも再び訪れる「約数・倍数/公約数・公倍数」の単元。
三菜はかつてここでつまずきました。
つまずきだらけで普通に歩いている姿をみたことがない
いいんですよ、つまずいても。三菜は今もちゃんと進んでますから。
約数を漏れなく書き出せないという、まさかのつまずき
約数の単元では、まず「約数を漏れなく書き出せない≒一部が抜ける」というつまづきがありました。
約数を書きだすにはペアで考えるのが基本中の基本。例えば24ですと(1、24)(2、12)(3、8)(4、6)と掛け算して24になるペアを小さい順にセットで書き出しますが、たったこれだけのことでなかなかどうして漏れが生じる。流石に24だとありませんが、大きい数になるとペアにする数字が飛んでしまったりする。
基本の計算がアレなので仕方がないことと言えば仕方がないのですが、仕方ないでは済ませられない、何とかしないといけないのが中学受験。三菜のフォローで使ったのが本日ご紹介の「サイパー約数特訓練習帳」です。
約数を漏れなく書き出せない子に!「サイパー約数特訓練習帳」
サイパーシリーズは、1冊が分野・単元毎になっており、1冊が非常に薄い分冊からなる問題集シリーズです。算数は黄緑・国語は水色ですが、紹介する「約数特訓練習帳」は分冊にさえなってない紙の集合体。
その名の通り「約数を書きだすことに特化した練習帳」です。
サイパーの他のシリーズはいろいろなところで手に入るのですが、今のところここでしか買えないのが難点といえば難点。
「サイパー約数特訓練習帳」は、つまづきのある子の目線にたった構成
「えー、約数なんて力業で書き出す練習をするだけだから普通のノートで十分。だいたい(2,32)とペアで書き出すという行為自体が「漏れをなくすための行為」な訳だしー、他に何を教えることが?」…と思った方。
飲み込みの悪い子は、その練習が自分でうまくできないからできないのですよ。練習ひとつにも工夫が必要なこともあるんです。サイパーの「サイパー約数特訓練習帳」は三菜のように「約数の書出しで部分的に飛んでしまう」子がそれを自力で何とかすることができるよう、至れり尽くせりのステップが踏まれている、つまづきのある子の目線にたった練習帳になっていると思います。
1から100までの数それぞれについて、約数書き出しの練習ができる
1ユニットで25個の数字について書出しの練習をします。全部で4ユニットで1から100までのすべての数字についてそれぞれ約数書出しの練習をする構成です。
ユニット2:26~50
ユニット3:51~75
ユニット4:76~100
最初は小さい数から、徐々に大きな数の書出しを練習していく構成だよ
段階的に漏れなく書き出す練習ができる「5ステップ」
各ユニットは次の5ステップに分かれています。以下順にレビューしますよ。
・予め約数の組み合わせの片方が上の段に薄く書いてあるので、それをなぞり書きし、下の段にもう片方の組み合わせの数字を書きます。
・ペアが同じ数字の場合は、上の段に薄く数字が書いてあり、下の段は×がついています。
・また、組み合わせを描く枠はペアの数分しか書いてありません。
例えば76の約数のペアは(1,76)(2,38)(4,19)の3つなので、枠は3こ。上の段に1,2、4が薄く書いてあります。81の約数で(9、9)は9の下の欄はバツ印が書いてあります。
・予め約数の組み合わせの片方が上の段に薄く書いてあるのはステップ1と同じ。
・ペアが同じ数字の場合、上の段に薄く数字が書いてありますが下の段の×は自分で記入。
・組み合わせを描く枠はペアの数分しか書いてありません。
81の約数で(9、9)は9の下の欄はバツ印が書いてありませんので、自分で書きます。
・約数の組み合わせの片方が書いてありません。ペアを自分で書きます。
・組み合わせを描く枠はペアの数分しか書いてありません。
約数の書出しらしくなってきましたが、枠がペアの数分しかないので飛ばしてしまった時に、「あれ?」と思うことができます。
・ペアは自分で書きます。
・使わない欄があります!
ここまでくると、いよいよ約数の書出しをノートにやってる感じが出てきます。
ちなみに、ここまでのステップ1~3を練習する過程で、「この数字はペアが多かったな」「少なかったな」などの感覚を徐々に養うのがミソだと思います。「ペアにする仕組みを教わってるんだからノートに書いて練習すればいいのである」というのは本ステップで言えばここからいきなりやらせてるのに等しいわけですから、つまづきのある子にはキツいのです。
・ペアは自分で書きます。※1とその数は書いてある
・使わない欄があります。
・タイムをはかります
・ユニットにより、枚数が異なります。
見た目はステップ4と変わりませんが、タイムをはかる欄があるので気が引き締まります。スラスラかけることに重点をおいているので「1とその数自身」はあらかじめ記載がしてあるんだそう。
なお、ユニットごとにこちらの枚数は異なり、ユニットの数字が大きくなるにしたがって枚数も増えます。数字が大きい方が、慣れるのも大変ですからね。
ここまでのステップをこなすと、かなりの確率で漏れなく書き出せます。サイパーおそるべし。
巻末の「360の約数」で扇形の問題もバッチリ
巻末に「360の約数」というページが1枚ついています。扇形の面積や弧の長さを出すときに360の約数を知っていると便利なので約数の特訓ついでにおまけについているのだと思います。
計算力がつくというおまけ付き
実はこれを1冊終えるころには、計算力もかなりついてくるというおまけ付き。
かけ算とわり算を別々に訓練してるというより、かける・わるを一緒に訓練してる感じといえばいいでしょうか。
三菜は計算力ももともとアレだったので、大分この練習帳で救われました。計算力弱めの子にとっても「サイパー約数特訓練習帳」一石二鳥のワークといえましょう。
みんなができるやり方が分からなくても大丈夫。解決策はきっとある
昔から「勉強の出来ない人は問題集やテキストが沢山持っている」と言われることもあり、いろんなテキストや問題集を使うのはあまり印象がよくない気もします。
沢山持ってるくせにどれもこれも前から順に途中までしかやらない三日坊主的なマイナスのイメージ
ですが、メインはこの教材、つまづきが出たときにこの部分はこっちのやり方がいいから活用したいのでこのテキストを使うという風に、前向きな理由をもってテキストや問題集を複数冊使ってもいいと思うんですよね。
だって「みんなこれでわかりますから」というやり方であっても100%どの子も漏れなくスムーズにできるようになる、なんてありえない。
本件だと「約数はペア」なので「漏れがないように小さい数から順に書き出す」やり方で指導されるのが一般的ですが、三菜の場合は「順に書き出せば」の「順に」がどうにもこうにも自力で解決できませんでした。そんな簡単なこと、なぜ言われたまんまのことが実践できない?…と当時こみるも思いました。
そんな時、サイパーの「約数特訓練習帳」に出会いまして、このスモールステップ&分量に目からうろこ。三菜のつまづきにはとてもあっていて、功を奏した問題集のひとつでした。
お伝えしたいのは、みんながわかるやり方を子がスンナリできなくても「なんでできないのか」と嘆く必要はありませんし、「もっと繰り返しやれ」とゴリゴリやらせるのが必ずしも正しくないということ。※ゴリゴリが正しい場合もあります
やり方を工夫してみたり、サイパーの「約数特訓練習帳」のように子にあう教材を探せば解決することもあるので、飲み込みの悪い子ほど、1つのテキストや問題集・やり方に固執しないで視野を広くもったほうがいいと中学受験全般を通してそう思ったので書き記しておきます。
問題集探しも結構楽しいよ
コメント