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さて、ここまで「進学塾などいらぬ」「進学塾(できれば大手)に入れるべき」と真っ向から主張の異なっていそうな2冊を見てまいりました。さて、私たちは一体どうすればよいのでしょう??今回は、中学受験ライフを終えたこみるの所感も交えて、この答えの出ないテーマについて考察してまいります。
2冊に共通しているのは「大手進学塾は営利組織である」ということ
「大手進学塾は営利組織である」…真っ向から異なる主張をしているように見える2冊ですが、共通して(認めて)いるのはココかと。
では「営利組織としての進学塾」を妄想してみましょう。
営利組織としての大手進学塾について妄想
営利組織が利潤を生みだすにはいろいろ方法がありますが、売上をアップさせ、コストを下げるのが利潤を上げるためにとられる一般的な手法です。
売上をアップさせるには、顧客がそのサービスを魅力的だと思って利用し、金を落としてくれなければいけません。ですので、サービスを利用するメリットをユーザに伝えなくてはいけません。
売上UPのために宣伝しているのは「〇〇中何名」
ここで大手進学塾のチラシを見ますと、軒並み「〇中何名 □中何名…」、と書いてありますから、「これだけの(高偏差値の・有名な)中学に実績があります」ということが、顧客がそのサービスを魅力的だと思う内容であり、大手進学塾が宣伝したい内容であるようです。
三菜が通塾していた時の最初の面談で、「〇〇中か〇〇中(※Y80偏差値45~55の中学)が志望です」とお伝えしたところ、「え?そこ最終目標ってホント?大丈夫か?三菜の家は」というような顔を先生にされたのが印象的で記憶に残っています。
当時は「うちはここがいいと思ってんだよ、何なの?この先生」と少々不快に思いましたが、今思えば、大手進学塾的には中堅校は特に宣伝したい内容ではないわけですから、今思えば納得の対応な気がいたします。
「〇〇中何名」の実績=契約した相手に合格を約束したものではない
ところが、このメリット(らしきもの)は契約するユーザに「約束されたもの」ではありません。
どこにも「あなたのお子様をここに書いてあるような学校に合格させることをお約束いたします」とは書いていません。書いてませんが、ユーザはこの内容を「魅力的」と感じるので、その内容を参考にして企業(塾)をセレクトするのでしょう。ちょっと美容系の宣伝と似てる…?気もします。
塾からみた「費用対効果」
さて、約束もされてないのにその宣伝文句に集まった多くのユーザ(の子供)がいるわけですが、なるべく多くの子達がいわゆる「高偏差値」の学校に入ってくれた方が企業としては次回の宣伝になり、結果として売り上げにつながります。
ですので、宣伝になる学校により多く合格してもらうよう努力をするでしょう。コストをかけ、しっかりフォローするわけですね。
企業はなるべくコストを減らした方が儲かります。
塾が得る基本的なフィーは、賢い子も飲み込みの悪い子も同じです。
労力(=コスト)をあまりかけず目的地にゴールしてもらった場合と、労力をかけにかけまくって目的地にゴールしてもらった場合とでは、コストは後者の方がかかる=効率が悪い=利益も低くなることになります。同じコスト=同じ先生の稼働をかけるなら、賢い子にかけたほうが明らかに効率がいいです。
「中学受験は親が9割」で「大手進学塾の上位クラスに入れるようにすべき、なぜなら上位クラスとだと、塾で最善のサポートを受けられるから」と著者は言っていますが、上記のように進学塾は営利企業であることを考えるととっても納得できる話であるように思いました。
頑張ればみんな後からぐいぐい伸びる…?
あ、子の伸びしろが違うかもしれませんね。中・下位スタートでも、後からぐいぐい伸びるから、最初からデキる子だけにコスト投下してるわけではないかもしれない。
ただ、「最初は偏差値が30だったけど、塾でメキメキ成績を上げ難関校に合格しました~!」的シンデレラストーリーを成しえた子の割合って、実際どのくらいなんでしょう???
もし、それなりの割合あるのであれば、そこを売り文句としてチラシなどに書かれていてもよさそうです。「当塾生の40%が入塾時の偏差値よりも15~20ポイントアップ!(20XX年実績値)」…とかね。
でも、そんな塾のチラシ、見たことありません。
恐らく企業内で数値としては持っているんでしょうが、限りなく低ーい数値なので、表には出せない。そして、営利団体としてそこにコストをかけるべきでないと判断しているのだと推測。
「中学受験は親が9割」でも、経験豊かな著者が「入塾してのクラスアップは難しい」と仰っているので、実際、ホントにレアケースなのでしょう。

このあたりの統計値ってないものかね
中・下位の子は一体どうすれば???
なんだ、中・下位の子は金づるってやつですかね?…言い方は悪いですが。一体全体、どうすりゃいいのでしょう? とりあえず通塾し続けることを選択した場合でも2パターンは考えられます。
その1:頑張って進学塾で上位に食い込む
そもそも上位に食い込むことが必要なのかという論点もありますが、なんとしてでも上位に行きたい場合は、この頑張り方がキモなのかと。
子の個体を考慮せずに闇雲に量を詰め込んで何とかしようとすると「進学塾不要論」で著者が主張されているよう、子の発達状況を考慮せず受験用の問題をガンガン詰め込むことになり、「悪影響」を受けることになる可能性があるのでしょう。
ですが、子の特性や成長状況を見極めた適切な負荷を与えた場合には、結果として上位に食い込めるやもしれません。
いずれにしても、塾による「上位向けの手厚いサポート」が無い前提になりますので、家庭での負荷の見極め・コントロールがカギを握ることになりそうです。
その2:お客さんでもよいので塾のメリットを享受しつつ、過ごす
それでも塾に通うメリットって何なんでしょう?それは主に、
②それなりの量をやらなくてはいけいないと、親ではない「第三者」が言ってくれること
であると、こみるは思います。他にもいろいろあるでしょうが。
1年チョイ通塾しただけですが、それでも「よかった」と思う点は「勉強の習慣が身についた」ということ。
三菜はかつて、公文の宿題を嫌がり、親のほうが嫌気がさしてやめた過去がありますが、そんな三菜を思うと、(休憩を挟むにしても)よくぞ1時間半とか2時間とか座って勉強できる姿勢をつけてくれたとありがたく思っています。
しかも、受験までにやるべきカリキュラムは塾がある程度示してくれますし、相談に乗れば、最善ではないにせよそれなりにこたえてくれる。そういったことに価値を見出してフィーを払うのであれば、たとえ塾側からお客さんと思われていようと、問題ないという考え方もできそうです。
そういう意味では「進学塾不要論」でいわれているほどの害悪はないかも。
第三の道は「塾なし」中学受験
ただ、進学塾は営利組織である以上、塾に所属している間に「もっと上へ、もっと上へ」という雰囲気には当然なるでしょうから、親が子のメンタルや塾との関係性をしっかりとハンドリングしていかないと、結局は「進学塾不要論」で懸念されていたような話になってしまうかもしれません。
もっとパターンはあると思いますが、こみる家は塾をやめて第三の道を模索しました。
結局のところ進学塾に通うことは必要?塾なしでもOK?
「人によるからわからない」というのが結論になるのでしょう。
塾というものは上記のような特性があることを理解した上で、「子の幼さ度合い」や「その家庭の考え方」「体力」「性格」などいろんな変数を総合的に考え、各家庭で結論付けるべきもので「必ず大手進学塾に行くべき」でも「必ず塾なしでいくべき」でもないのでしょう。

どっちが正しいなんてことはないし、ましてや事情をよく知らない第三者が「塾なしがいいよ」とか「塾に行った方がいいよ」とか安易に決められるものではないよな
「こみる」というハンドルネームは「子を見る」からつけています。中学受験において、子の性格、幼めかそうでないか(発達の状況)、様子、心の変化など「我が子」を見極めることは、塾に通うか塾なしにするかの選択だけでなく、宿題のさせ方、試験の組み方、声のかけ方などあらゆるところに関わってくるのですごく重要なことだと思います。あと、家族会議でとことんじっくり話し合うこと。
そうすればおのずと「塾に行くべき・塾に行かないべき」の呪縛から解き放たれて、自分たちに必要な道とやり方が見えてくるのではないかなーとこみるは思います。
こみるも「子を見る」ということにおいて、まだまだ修行が足りないなーと思うことが日々ありますので、今後も精進してまいりたいと思います!
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